ツンデレ社長の甘い求愛
「そうか、ならよかった。……いや、よくないよな。意識がなかったとはいえ、一晩中身体を離さなかったんだから」

「……っいいえ、それも大丈夫ですから」


瞬時に昨晩のことを思い出してしまい、慌てて視線を落とした。

しかもなんていうかその……社長の言い方がちょっと、羞恥心を煽る言い回しで照れ臭い。


「クゥーン……」

さっきまでおりこうに待っていたラブちゃんだけれど、寂しくなったのかこちらに寄ってきた。

ふと壁に掛けられているデジタル時計を見ると、そろそろ自宅へ帰って準備をしないと間に合わなくなってしまう時間。


「それでは私はこれで。……ラブちゃんに早くご飯をあげてください」

立ち上がりバッグを手にしたところで、社長は目をパチクリさせ言った。


「どうしてラブの名前を……?」

「……えっ!?」

ギクッと身体が反応してしまうと同時に、しまったと後悔してしまう。


なに気なく言ってしまったけれどそうだよね、私がラブちゃんの名前を知る由もないはずなのに、ついうっかりと……!

考え込んでいる時間はたった数秒。けれどこの数秒がとてつもなく長く感じてしまうほど、窮地に陥ってしまった。
< 216 / 347 >

この作品をシェア

pagetop