ツンデレ社長の甘い求愛
部長の声にオフィス中が騒がしくなる。

亜美ちゃんたちの顔色も急に青ざめていった。


そりゃ普通はそうなるよね。一社員でしかない私が会長に呼び出されることなんて、本来なら一生あり得ないことだし。


亜美ちゃんたちはきっと、会長の孫である社長と私の交際の噂を聞き、事情を聞くために呼び出したと思っているのかもしれない。

でも実際は違うはず。


昨日の会長の話を聞いていた限りでは、噂を聞いて激怒なんてことはあり得ないと思うし、なにより私にとっては救いのお呼び出しだ。


今の状況から抜け出せるのだから。

シンと静まり返ってしまったオフィスの空気に居心地が悪くなり、「それでは行ってきます」と呟くと、部長はハッとし「俺はなにがあっても馬場くんの味方だからな」なんてことを言い出した。


部長につられるように亜美ちゃん達からも、「かすみ先輩、愛を貫いてください」とか、「応援していますから」といった励ましの言葉を掛けられ、苦笑いを浮かべてしまう。


「ありがとうございます、とりあえず行ってきます」

ますます居たたまれなくなり、そそくさとオフィスを後にした。


会長室があるのはもちろん最上階。

そこに向かう途中、何度もすれ違う社員に見られながらやっとたどり着くと、すぐに浅野さんがドアを開け出迎えてくれた。
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