ツンデレ社長の甘い求愛
「その様子だと、浅野の判断は間違っていなかったようだぞ? 良い仕事をしたな」

「いえ……」

会長に褒められるも、浅野さんは困惑した様子。


事情を知らない会長は、昨夜私と社長が一緒に過ごしたと勘違いしているのかもしれない。

いや、あながち間違ってはいないけれど。


「しかし噂だけはどうにかしなければならない。噂というのはひとり歩きするものだ。早めに手を打たんとな、浅野」

「はい、心得ております」


ガラリと変わった厳しい声色に緊張が増す。


そうだ、昨日から想像とは違い優しい表情で接してくれていたから、変な緊張感が溶けていたけれど、忘れてはいけない。


今、私の目の前に座っているのは我が社の会長だってことを。

ゴクリと生唾を飲み込んでしまう。

けれど会長はまたニコニコ笑いながら私を見据えた。


「そこで馬場さん、私からの提案なんだが、近々大喜と公の場で交際宣言してみてはいかがだろうか」

「――え」

「役員たちもそれを望んでおる。皆早く大喜には身を固め、後継者を……と願っておってな」
< 228 / 347 >

この作品をシェア

pagetop