ツンデレ社長の甘い求愛
「お世話になっております、フラワーズの馬場です。……はい、本日は予定通り十三時頃にお伺いいたしますので、よろしくお願いします」


タクシーの中でバター生産者である大久保さんに電話で挨拶をした後、会社に確認の電話をしたりしていたら、あっという間に羽田空港に辿り着いた。


「えっと、確か十時半の便だったよね」

会社で取ってもらった航空チケットを取り出し、時間を確認する。


大久保さんへの手土産も買ったし、開発部から預かった試作品もしっかり持ってきたし。

資料もバッグにしまってあるし、大丈夫だよね。

出張のたびに忘れ物がないか、いつも気になってしまうんだよね。


搭乗時刻まであと少し。

ロビーの椅子で座って待っていようと思い、空いていた椅子に座ったときだった。


「あ、すみません」

「いいえ、こちらこそ」

座ろうとひじ掛けに触れたとき、隣の椅子に座ろうとしていた相手の手に間違って触れてしまい、慌てて引っ込めた。


お互い謝り、ふと顔を上げたときだった。

相手の顔を見た瞬間、お互い目を丸くさせてしまう。

「え、どうしてここに社長が?」

「それはこっちの台詞だ」

思わず社長を指差してしまった。
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