ツンデレ社長の甘い求愛
「ではさっそくこちらからどうぞ」

無色透明のパッケージの袋を開け、大久保さんに順に試食していってもらった。



「今日はまずまずの反応だったな」

「はい。従業員の方にも試食していただき、意見が聞けてよかったです」


時刻は十六時。

打ち合わせを終え、社長とタクシーで予約してあるホテルへと向かっていく。


打ち合わせの方は予定より長引いてしまったけれど、実のある時間を過ごせた。

大久保さんを始め、従業員のかたに率直な意見を聞けたし反応も上々だった。

開発部にも良い報告ができそうだ。


「少し製造面が心配だったが、納品時期に合わせて臨時のバイトを雇って対応してくれると言っていたし、今回成功したら事業拡大も視野に入れ、今後もうちと付き合っていきたいと言ってくれたしな。じいさんに企てられながらも行った甲斐があったよ」


「大久保さんもわざわざ社長が来てくれて嬉しかったと言っていましたよ? 製造工場の見学もしてくださりましたし」


そうなのだ、社長の申し出で急遽製造工場を見学させていただいたのだ。


大久保さんの説明を真剣に聞く社長に、大久保さんも好感を抱き、是非今後もよろしくお願いしたいと向こうから申し出てくれたのだ。


「それは当たり前だ。自社製品に使用する物を作る場所を見せてもらうのは、社長として当然の務めだろ? ……でも安心したよ、品質管理も徹底しているし、なによりひとつひとつこだわりを持って作っている。味も申し分ないしな。馬場が惚れこんだだけある」


満足気に笑う社長に、心がくすぐったくなってしまった。
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