ツンデレ社長の甘い求愛
「それに役職柄、ヘラヘラできないだろ? ……社会の中には誰か嫌われ者がいてこそ成り立つものだと思っているから」

「嫌われ者……ですか?」

尋ねてしまうと、社長は窓の外の景色を眺めたまま頷いた。


「あぁ。会社中の全員が良い奴だったら、会社は回らないと思わないか? それぞれに個性があり、時にはぶつかり、時のは協力し合い励まし合いながらやっていくのが仕事だろ? それと誰か嫌われ者がいるからこそ、団結力が増すものだ」


自傷気味に笑う社長に視線が釘付けになってしまう。


「……それじゃ社長は自ら嫌われ者に徹しているんですか?」


もしそうなら……社長はどんな思いでいつも私たちに接してきたのだろうか。


「まぁな。でも、俺の言い方にも問題があったかもしれない。もう少しマイルドに嫌われてもよかったし」

「マイルドって……」


もう。どうしてここで人を気遣っちゃうかな。

私の気持ちを察してくれたから、らしくなく「マイルドに~」なんて言ったんでしょ?


気持ちが込み上げてきてしまい、唇をぎゅっと噛みしめてしまう。


「馬場は俺が自分の社内での評価を知らないとでも思っているのか? 悪いけど社員たちの顔を見れば一発で分かる。俺は誰からも嫌われているってな。……まぁ、それが本望だけど。俺が嫌われることによって会社がうまく回っていくなら」
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