ツンデレ社長の甘い求愛
驚きつつも、断るわけがない。

私も浅野さんに聞きたいことがあったから。


浅野さんはオフィスをぐるりと見回した後、「ここではなんですので……」と囁いた。

「あっ、はい」

慌てて立ち上がり、残っている部長と同僚に会釈をし第一企画部を後にした。


連れられてやってきたのは浅野さんのオフィス。


バタンとドアを閉めると、「ここなら誰にも聞かれる心配はございません」と言い、椅子に座るよう手で合図された。


「すみません、失礼します」



椅子に腰かけると、浅野さんも向かい合うように腰を下ろした後、さっそく本題を切り出した。


「先日はありがとうございました。……大喜様を病院へ向かわせていただいたこと、深く感謝いたします」


そう言うと浅野さんは深々と頭を下げてきたものだから、慌てて手を左右に振った。


「そんな、とんでもないです! ただその……あのときは無我夢中でして。こちらこそすみません、浅野さんに聞いたお話を社長に話してしまったんです」


浅野さんからは「ご内密に」って言われていたのに。


申し訳なくて自分の膝をジッと見つめてしまう。


「謝らないでください。……本当に馬場様には感謝しているのですから」

「――え?」

顔を上げると、目を細め私を見つめる浅野さんと視線がかち合った。
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