ツンデレ社長の甘い求愛
そうなることを待っていたように、佐久間くんは演技掛かった声で話し出した。


「同期としてやってられねぇよな。バッグに社長がいたら、どんなに努力したって勝てるわけねぇし。……なぁ、仙田」


佐久間くんが仙田くんを呼ぶと、彼の身体はビクっと反応した。


彼の反応に脳裏に浮かぶのは、日曜日のこと。

そういえば仙田くん、散歩中に電話くれたよね?


それに今の様子はおかしい。

いつもの仙田くんらしくない。

彼ならこんな場面に出くわしたら、迷いなく助けに入ってくれるはずなのに……。


考えれば考えるほど嫌な結論しか浮かんでこない。

ううん、まさか。仙田くんに限ってあり得ない。

だって仙田くんは入社当時から仲が良くて、いつも気さくで……これからも付き合っていきたい同期のひとりで。


そうだよ、まさかあり得ない。犯人がもしかしたら仙田くんかもしれない……なんて。


それでも疑惑を拭い去れなくて、ジッと彼を見つめてしまっていると、仙田くんに代わって佐久間くんが代弁するように言った。


「仙田だって悔しいと思っていたんだろ? 許せねぇんだろ? ……だからあの写真を撮って俺に送ってくれたんだよな?」

――え、佐久間くん……今、なんて言った?


耳を疑う話に目を白黒させ、仙田くんをまじまじと見つめてしまう。

そんな私の視線から逃れるように、彼は固く瞼を閉じた。

嘘、でしょ。まさか仙田くんが……?
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