ツンデレ社長の甘い求愛
呆然としてしまう中、佐久間くんは話を続けた。


「俺も同じ気持ちだよ。いや、俺たちだけじゃない。そう思っている社員はたくさんいるはずだ。それがこれだろ? みんな馬場のことを悪く言っている」


周囲を見渡す佐久間くんにつられるように視線を向ければ、私達を取り囲んでいた社員たちは、各々疑いめいた目でこちらを見ては、なにかコソコソと話している。


「適当なこと言わないでください! 私たちはそんなこと、これっぽっちも思っていませんから」

「そうだ、そうだ!」


負けじと声を上げた亜美ちゃんと松島主任だけれど、佐久間くんは可笑しそうに顔を歪めた。


「悪いですけど、それはごく一部の社員だけですよ。社内中の社員は皆、馬場に幻滅していますから」

佐久間くんには腹が立つ。――でもそれよりも私にはどうしても気になっていることがあった。


沈黙を貫いている彼だ。

一歩、また一歩と仙田くんの元へと歩み寄っていく。


「ちょっとかすみ先輩?」

背後から私を呼び止める亜美ちゃんの声が聞こえてきたけれど、立ち止まることなく歩みを進める。


そして仙田くんの表情がよく見える一メートル手前で立ち止まり、固く瞼を閉じたままの彼にそっと問いかけた。
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