ツンデレ社長の甘い求愛
「痛っ……!」

そして聞こえてきた悲痛な声に、慌ててリビングへと駆け込んだ。

「どうした、かすみ!」


すぐに彼女の姿を探すと、見当たらず。

けれどすぐに「すみません、ここです」と弱々しい声がキッチンの方から聞こえてきた。

回り込むと、そこには座り込み足を押さえる彼女の姿があった。

その横には大鍋が転がっており、床は濡れていて湯気が上がっている。

「手が滑っちゃって……」

「手が滑ったって……だめじゃないか!」

「え、あっ! 大喜さん!?」


迷うことなくかすみの身体を抱き抱え、バスルームへと走りだす。

「バカ、早く冷やさないとだめだろ? 跡が残ったらどうするんだ!」

心配で堪らなくて思わず声を荒げてしまうと、俺に抱き抱えられたかすみは、肩を震わせた。

「ごめんなさっ……」

痛さからか、俺が声を荒げてしまったからか、かすみの目は次第に潤んでいく。
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