ツンデレ社長の甘い求愛
「それではこれで」

「はい、わざわざありがとうございました」

猫背を更に丸くさせてラブちゃんのリードを引き、隣の部屋へ戻ろうとした山本さんだけど――。

「ワンワンワン!!」

「あっ、こらラブ!」


どうやらラブちゃんはまだ帰りたくないご様子で、必死に踏ん張っている。

そしてカイくんもラブちゃんとまだ遊びたいのか、玄関から出てラブちゃんの元へと駆け寄っていった。

「カイくん!?」

リードをしていないカイくんはラブちゃんの元から離れようとしない。


これはちょっと……ふたり、もとい二匹を引き離すのは気が引ける。

それでも山本さんは必死にラブちゃんのリードを引っ張っているけれど。


「あの、もしこの後お時間大丈夫でしたら、一緒に散歩しませんか?」

「――え、あっこら!」


私の声に一瞬力が弱まったのをラブちゃんは見逃さなかった。

すかさず振り切り、通路でカイくんと戯れ始めた。
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