好きになるまで待ってなんていられない


ドクン、ドクンと鼓動が大きくなる。これも間違いなく伝わっているはず。

今の話はほぼ経緯だけ。
そうだったんだと、その程度に思ってしまえば、友人同士ならワーワーとからかい盛り上がって笑い話にもなる話。
だけど、とても重要な話だと、私は取りたい。
そんな貴方の行動を何一つ思いもしないで…、私は社長と…。密な時間を過ごしていた。

私、社長の家に行っていました。離婚したばかりの社長の部屋に行って、ご飯を作って、泊まって。
そして、朝から…真っ昼間も…ずっと。何度も抱き合いました。私と社長は若い頃、身体の関係があったんです。そんな人の居る職場でずっと働き続けています。社長に反応して、身体が反応して、ツラクて抱かれて来ました。
これを話さないと…私はこの人に、…どんなにドキドキしても、何も言ってはいけないのかも知れない。

助言してくれる人は居ない。
なんでも一人で、ずっと一人で決めて生きて来た…。

「晩御飯、食べてないままだったでしょ?」

朝ご飯も昼ご飯もかも知れない。

「う〜ん、そうだな。そう言えば、入った時、この部屋は餃子の匂いがしてたなぁ」

「あ、…ごめん。もしかして匂う?」

今更だけど、こんな近くで話していたから。

「あんたがって事か?いや、お茶飲んだりしただろ?」

そう言われると緑茶を飲んで、飲むヨーグルトも飲んだ。勿論、お風呂で歯磨きもした。

ニンニク臭い餃子でも無かったかな…。確か入ってないタイプだった。

「気にならない?大丈夫?」

「フ。…大丈夫だよ」

…あ、また抱きしめられた。

「ねえ、何か作る」

「フ。んー、今はいい。食べてないって話したからって、まだ時間的に早いし、食べられない」

「あ、そうか。ねえ、御飯とお味噌汁みたいなのがいい?それともトーストがいい?」

「フ。…だから。今はいい。今はこうしている方がいいんだ」

…、もう。またドキッとした。

「はぁ…」

「どうした?」

「うん、心臓が痛い…凄く苦しい…」

凄く痛い。

「マッサージするか?」

「ち、違うの、大丈夫。命には関わらない別の痛みだから。第一、貴方…整体師でしょ?」

「忘れたか?俺は歴とした内科医だ。だから心臓マッサージはお手の物…任せておけ。それに整体師だって心臓マッサージは出来る」

そうだった。危ない危ない。

「で、いいのか?しなくて」

手つきが違う…。それはマッサージじゃなくて、揉んでる手つきでしょ?…。

「…いい。丁重にお断りします」
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