好きになるまで待ってなんていられない
「私…」
「考えておきますと受け流した。嫌だと言うなら、即答で断らなかったその罰だ」
…ふぅ。
「家政婦みたいだろ?」
「え?」
「これだと、何も気にせずに来れるだろ?家政婦さんと変わらない。そう思えばいいだろ」
言われて見れば、だ。でも何も気にせずは、そこはやっぱり違うと思う。だったら…。
「そんな都合よく来てくれる家政婦は居ない。それに、根本は成美じゃないと駄目だという事だ」
…はぁ。
「献立はどうしますか?」
「ん?おっ、いいのか?」
「え?だって、え?」
「いいのか?」
「え、でも」
もう行くしか無いだろうと思って言ったのに。
私生活に主従関係は無いのだけど、…全く関係無いとは言えない気がする。
受け止める側の問題だろうけど。もう断る事も難しいのかと思った。
…はぁ、濁し続けるつもりが、自分から承諾してしまうなんて。
「19時から20時くらいにはお邪魔する事にします。作る物によって、かかる時間が違うので。いいですか?それから、社長のマンションからだと、バス停が近くにありましたから、基本はバスを利用する事にします」
「何を作って貰っても大丈夫だ。大抵の物は食うから」
…。
「お昼ご飯と被ってもいいですか?毎回、何を食べていたかなんて聞きませんから」
「いいよ」
…そんな事はどうでもいいって事ですよね。
はぁ、大丈夫か、私…。社長も言った事は守れる自信はあるのかな。
「ん?」
「…何でもありません」
「渡す物は渡した。後は成美に任せる」
「えっ?」
「完全な決定では無いという事だ。…命令では無い。考えてからでいい。…いつからでもいい」
「社長…そんな…」
あの男もこの男も、話が上手いのかな。
こういう風にことを運べば、承諾すると確信があるのかな。
…いつにしたって同じだ。
「今週からにします」
もう…、長く引っ張っても意味は無い…結果は同じになる気がした…。
「おっ、潔いいな。無理な日は前以て言ってくれ」
「はい」