好きになるまで待ってなんていられない


挙動不審。
子供なら心のまま動作に現れる。
そんな事が無いのが大人だと思っていた。
今の私は前者。

部屋に帰って来てから落ち着かない。暫く座り込んで動かなかった。
立ち上がる。ウロウロする。座る。また立ち上がってウロウロする。
…もう、解らない。
大丈夫ってよく言うけど、この言葉、本来どんな意味だったっけ。

…。

…、あっ、…パソコン。もう…。何しに行ってたのよ。はぁ、なんて事。
持ち帰りの仕事があった訳じゃ無いけど、充電して置かなきゃいけないのに…。社長の車に忘れてくるなんて。

そんなの、端から解ってる事だから、ちゃんと預かってくれてるだろう。

…。あ。もう…。はぁ、…メール、来てたんだ。
…こんなの、ご飯食べて、腰抜かしに行っただけじゃない。

【預かっておいてください】

もう…、はぁ。

ブーブー…。

【朝まで気が付かないと思った。藤木】

…キーッ。そうよ…偶然よ。バッグから携帯が零れたからよ。そうじゃなかったら、メールになんか気が付かなかったです。
ケーブル…。バッグに入れておこう。忘れる訳にはいかない。

忘れる訳にはいかない…。
忘れる…。

…。

結局、事あるごとにこんな事があるのなら、ご飯を作る事だって無理に決まってる。社長の思い通りに事が運んでしまうに決まってる。

好きにしろ、とか、構わない、とか。そんな事言われた上でなんて…。

…こうやって、あいつに対する気持ちを冷めさせて行くつもりなのかしら。…それが狙い?

そんな事、って、向きになって、好きになろうなんて出来ない。そうなったら、もう自然体の好きでは無くなってしまうから…。



コツン、コツン…。
こんな時間に居るはずもないけど。

…モモンガ整体院。

貴方に会いたいと思ったら、ここに居る時か、自宅に行くかしかないのよね?
何も知らないなんて…。言われてみたら、別に…不自由無く話してたから、…変って言えば変なのよね…。
名前、なんて言うんだろう。普通、名前くらい聞くものよね…。


「おい、来いよ」

ひっ。
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