好きになるまで待ってなんていられない


「フ、驚かしたか?悪かったな。入れよ」

…居たんだ。こんな時間まで。
はぁ…。フェンスを回り込んで入って行こうとした。

「待て、そっち行く必要無いだろ」

キャ。…。

「遠回りする必要は無い。あっちは閉まってるし、余計面倒だ」

ウエストをホールドされ、抱え上げられ敷地に入れられた。

…これ、結構恥ずかしいのよ。

「あの…」

「用があるんだろ?違うのか?
わざわざ下りて来て、…俺が居るかどうかも解んないのに」

…。

用と言うか…。顔が見たかった。

「ん?」

「顔、見たくなったから…」

…。



「ほら」

いつかと同じ。長椅子に座り、開けてくれた缶コーヒーを渡された。

「有難う…」

一口、口にした。…はぁ。

「あいつは?会社の人、だよな」

「うん、社長」

「へぇ」

…。

「訳ありげだよな、あんたと……な?だろ?」

…。

「昔…」

も、…今も、何だか…です。

「付き合ってた事があったんだ?」

どうしよう…ニュアンスは違う。

「…恋愛じゃ無かった」

「ふ〜ん…。気持ちは無かったんだ」

それは…。

「あいつ、見た感じの歳からいったら、奥さん居るよな?」

「居たけど最近離婚したの」

「へぇ」

…。

「あの…あのね、私ね…」

「あいつ、あんたの事、間違いなく好きだよな。
なんか言われてんの?」

言われてる、押されてる。…でも。

「好きにしろって。…好きに…恋しろって」

「へぇ。……随分と余裕、寛大だな」

…。

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