好きになるまで待ってなんていられない
「自分の事も客観的に見てるよな」
だって他人事みたいに話してるだろ?
「そうかな…」
「…フ、そうだよ。似た俺と一緒に居ると解んないかも知れないけど」
…ドキドキ浮ついた…流されるまま、どっち付かずの狡い人間では居られなくなった…。
「しっかりしなくちゃ…。子供が生まれるって思ったら、お母さんにならなくちゃね。子供の事だけ考えなきゃね…」
惚れた腫れたなんて、ドキドキするとか…そんな事言ってる場合じゃ無くなった。慶而君とは…終わり…。
…。
「灯…抱きしめてもいいよな」
え、……。
「…うん」
暫く肩を抱くようにしていた。そして横抱きされた。…慶而君。…。
「どうするんだ?」
「…うん。基本は一人で頑張りたいと思ってた、だけど強がれなくなった」
「珍しいな強気な灯が…」
頬をすりすりとくっつけられた。ぁ…。こんなの…珍しい。
「一遍に二人だから…もう…強気どころか、不安しかないの」
「何?!双子か」
「え、そこ?一番驚いたのって…そこ?」
「ああ、だって、なかなか双子は珍しいからな。だったら一人じゃ無理だ。頑張りたくても無理なんて出来ないぞ。灯、俺に出来る事は何でもする。産科医じゃ無いが医者の端くれだ。勉強し直しとくから。心配するな。具合悪くなったら直ぐ連絡して来い。緊急にも対処出来るくらい勉強しとくから。そうだ。俺らはまだ連絡先の交換もしてなかったな。灯、携帯」
「慶而君、興奮し過ぎ。待って…携帯…」
今更ながら連絡先を交換した。好きでつき合ってるなら一番にする事かも知れない。
「灯、結婚するのか?」
あいつはしないって言ってた。
「ううん。多分、一緒に居ても籍は入れないと思う。子供の父親にはさせてくれって社長が言ってたから、そこら辺の事は社長が手続きをしてくれるのかも知れない」
「そうか…。はぁ…暫くは灯とできないんだな」
「…え?何言って…」
「は?俺は終わりだなんて思ってないからな?これは言わば中断だ。だってだな、灯が親になっても、…事実婚かも知れないけど、隙はあるって事だろ?あぁ……急に妊娠するなんて…もっとしとけば良かったな…」
「もう…本当何言ってるの…。親になるのよ?お母さんになるんだからね、私」
「解ってる、今はしないよ?こんな感情でいつも以上に思いっきりして、流産させてしまったら大変だ」
「もう、そうじゃなくて…」
「灯が無事出産して落ち着いて、子供も歩けるくらいになったら、俺はまた灯と…ドキドキしたいんだ」
…そんなの…それって…何言ってるの。…ずっと好きでいるって事?…無理でしょ?それとも、気持ちを復活させるとでもいうの?
「先の、解らない事…何言ってるの…」
「先は解らない、だろ?ずっと好きでいるのも自由だろ?」
…ずっと好きでいるの?…だったら言わないで思ってるだけにして…。誰だって、勝手に好きなだけならいいけど…、貴方のは危険を孕んでいる。
解らない事よ…これから2年近く思っているなんて…。きっといい人に出会って薄れていくでしょ?……。終わりにするのがいい。
「灯、まだキスしてもいいよな…」
え?……ん、…ん。……ぁ。…キュンとするから駄目。…もう駄目。
「ん…、慶而君、身体に悪い。…お腹がギュッとなるから、もう駄目」
…灯。はぁ。
「あ゙ー、…。こんな時に出来ないなんて、…あ゙ー。あいつに言わなくてもいい。俺も言わない。俺は灯と終わりじゃないからな。往生際が悪いと言われようが終わらせない」
「…慶而君…」
「今は安静第一だから。今の、聞いたけど聞かなかった事にしておけよ、な?」
そんなの無理。無理に決まってる。事実、聞いちゃったじゃない。
「そんなの無理…」
「フ、まあいいから、いいから。子供、遊び相手になるから、連れて来いよな。キヨさんも居るし、大丈夫だから。孫みたいに可愛がるよ、きっと」
孫ね…。
「解んないけど、一応有難う」
「使えるもんは便利に使えばいいんだよ。灯はきっと真面目に子育てをする。だからこそ、何もしなくてボーッと一人になる時間は作った方がいいんだ」
「…お父さんみたいね、…有難う」
「ああ、何でもいい。何でもいいから灯と関わっていたいんだ、ずっとな」
慶而君…。……忘れないため?