好きになるまで待ってなんていられない
行きは早目に出て、帰りは割と遅くなった。
行きも帰りも会わなかった。
これが普通よ。当たり前。会わないはずの時間帯なんだから。
整体院の明かりは点いていないようだった。
ん?今更ながら、モモンガ整体院、って看板がある。…可愛い。…モモンガなんて。
手足を広げて飛んでるモモンガが描いてある。…知らなかったな。
いつも俯いて通り過ぎているし、近付いた時は何だか揉めててそれどころではないし。
でも、何故、モモンガ?
苗字がモモンガ、…は、流石にないな。…ないよね。
まあ、モモンガ、可愛いけど。
眼鏡掛けてたから見えたのかも知れない。
今日は歩いても、コツン、コツン、いわない。
スニーカータイプの柔らかい靴を履いているから。
勿論、ヒールは高くない。思いがけず走ったというのもあった。脚が…ピクピクするんじゃないかと思ったから。それに、…折角、整体してくれたんだし。今日くらいはね…。別に、言われたからじゃないから。
今夜は何を作ろうかな。
食材は買い溜めした物がある。
「…ただいま」
ふぅ。パソコン、忘れない内に充電しておかないと…。
…何だか、…何だろう。はぁ。
これって…やっぱり…、寂しい感じになってるの?
朝まで妙に密に居たからだと思う。
…ふぅ。元々ずっと一人なんだから、こんなモノだったでしょ?
…だから。
一人だと、一人だって意識しないのに、誰かと時間を過ごしたからよ…。
…だから、こんな事になるのよ。一人だ、って、思ってしまう。…またご飯も作れない心境になってるなんて…。でもお腹はすく…。
脚、洗おう…。
ピンポン。
…え?
…。
ピンポン。
…。
コンコン。
…。
「俺だ」
…。
カ、チャ。