好きになるまで待ってなんていられない
「珈琲と合うかどうか…」
また、さっきの部屋に戻っていった。
何かデザートでも用意してくれてたのかも知れない。
「はい、カボチャプリン」
「あ、有難う」
「と、これ」
え?
何かと思えば。もの凄く分厚いアルバム。重量感がある。
「これに俺の今までが集約されている。色々言うより見た方が早いだろ」
…。
「いいの?見ても」
「うん、…まあ、じっくり見られるのは、あれだ…。…こんな風に、写真と一緒に色々書いてくれてる部分がある。そういうのを見てくれ」
あ、なるほどね。
「では、拝見させて頂きます」
「…うん」
凄く小さい赤ちゃんの写真から始まってる。
はぁ…、もうこれだけで…こんな小さい時から、この人の人生は変わったんだ。
大袈裟に言えば、ほんとに毎日の事が記録されているのではないかと思うくらい、細かく出来事が書き込まれていた。
一般的な母親でもここまでするのはとても労力と愛情がいるだろう。
慈しんでいないと出来ないだろうと思った。
何より、この詳しい成長記録は、この子を自分の手で育てられなかった実の母親に対する心遣い。
いつか見られる日が来たら、…きっとそんな思いがびっしりと詰まっている物だ。
はぁ。
パタンとアルバムを閉じた。
「どうだ。なんとなく俺って者が何者か解ったか?」
「…解らない」
「は?」
「過ごして来たモノは解るけど。生きた…生の貴方の事は解らないわ。ここに写ってない貴方の事は、聞かないと解らない」
「…確かにな。優等生じゃない部分の、俺」
「うん、そんな感じのモノ」
それに、心。