好きになるまで待ってなんていられない
袋から買って貰った物を出した。
シャンプーとコンディショナーと、基礎化粧品のセット。
洗顔料、歯ブラシ…、ショーツ。…ストッキングまで。
流石にブラは無かったのね。
これは、体を洗う為のタオル。ヘアゴム、ブラシも…。
本当に片っ端から放り込んだって感じ。…勿体ない。
気を遣っているのは社長の方でしょ。
たった一度、一晩の事なのに。
何も無かったら無かったなりでいいのに…。
これだと、売っていたなら、パジャマや洋服まで買ってしまいそうだ。
余所の家のお風呂、なんだかやっぱりドキドキする。
こんな事…平気じゃ無いけど、裸になり、落ち着かないなりに身体を洗い、お湯に浸かった。
ザーッとお湯が溢れ出した。
…う〜ん。気持ちいい。
やっぱり面倒臭がらず湯舟には浸かるべきなのよね。
はぁぁ〜。
ユラユラと漂っていたい。解放された感じ…気持ちいい…。
あ…気をつけないと。
眠りこけて、…二の舞にならないようにしなければ。うっかり顔が浸かったら、死んでしまうんだから。
気持ちいいけど、もう出なくちゃね。
髪を洗ってシャワーで流した。
あ、れ、タオル…。バスタオルは…どこ?
…聞いて無かった。
「社長ー。社長ーっ!」
呼んでドアを閉め、ドアレバーを握って待っていた。
いきなり開けられない為にだ。…念の為だ。
足音が近付いて来てる。
「どうした!虫でもいたか?」
「いえ、あの、バスタオルがどこにあるのか解りません、と言うか、ありません」
「おお、すまん。直ぐ持って来るから待ってろ。声掛けるから浸かってろ、濡れたままでは風邪をひく」
「はい」
ふぅ。
…紳士じゃないか。いきなり開けたりしなかった。
身構えていた自分が恥ずかしいじゃない。
…こんな時はちゃんとした人なのよねぇ。
直ぐだとは思うけど、言われた通り入っていよう。
濡れたままでは本当直ぐ寒くなるから。