好きになるまで待ってなんていられない


お水を飲んで、持って来た乳液を手に取り塗ることにした。
いつも使ってる化粧品より高いトラベルセットの物。

すぅ。…好きな匂いだった。
どうせもう使う事はない。たっぷり使ってしまえ。
明日の朝の分があればいいんだから。

休みの日は何時くらいに起きているんだろう。
あまり早くから物音をさせても煩いだろうし。
起きる時間が解れば、洗濯もしやすい。
ちょっと聞いてみようかな。


「入浴中すみません、社長?いいですか?」

「…あ。どうした?」

「明日、お休みじゃないですか。いつも何時に起きてるんですか?」

「8時くらいには起きてたな」

…休みなのに割と早いな。ダラダラしてないんだ。

「…いいぞ、無理に起きなくて。起こしてやるから、好きなだけ寝ても。子供がいたから、何となく休みも早かっただけだ」

…そうだった。最近まで家庭があった人だった。
二人で居るとうっかり忘れて、…踏み込んで、…言わせてしまってる。

「解りました」


「成美?」

…もう居ないのか。

何かするつもりなのか。朝飯とかの準備の為か?
まあ、気は遣うか。
泊まるってなって、俺ん家だって言っても、知らない部屋で風呂に入るのもドキドキだろうしな。


風呂から出てリビングに来た。
成美は居なかった。

…和室か。寝たんだな。


冷蔵庫から水を出して飲んでいた。

スッと戸が開いた。

「社長、おやすみなさい」

「あ、うん、おやすみ…」

これだけの為に律儀に起きてたのか。
らしいな…。
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