極上な御曹司にとろ甘に愛されています
「『高橋さん』って他人行儀な呼び方も気に食わないな。この可愛い口塞いじゃおうか?」

高橋さんが悪魔な笑みを浮かべながら、私の唇に触れる。

ドキッとして石のように固まる私。

思考もピタッと止まって、上手く言葉を返せない。

瞬きするのも忘れて高橋さんを見つめていると、彼は顎をクイッと掴み、私に顔を近づけてそっと口づけた。

綿菓子のようにフワフワしたものが、私の唇に触れる。

キスの経験がないわけじゃない。

母の話によれば、私が四歳の時に一歳の卓が可愛くて自分からブチュッとキスをしたとか……。

卓にはよく俺のファーストキスを返せとかからかわれるけど、私には全く記憶がない。

まあ、小さい頃にやったことだからノーカウントだとも言える。それ以外でのキスの経験は自分で言ってて悲しいけどない。

だから、キスの感触を今初めて知った。

この羽が触れるような不思議な感覚……それに微かにミントの香りがして……。
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