ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
「確かか」
「えっ?あ・・は、はい。えっと、実は私も妊娠してるって分かったのが今朝のことで。それで今日、実家に寄る前に病院に行ってきたので確かです・・・。あのぅ、望月さん?エコーの写真、あるんですけど・・・見ますか?」

見たいかな。見たくないかな。
望月さんの表情だとどっちにも取れる。
だから私は、拒絶されたときのことを想定して、内心ビクビクしながら、おずおずと切り出したんだけど。
彼は「ああ」と返事をしてくれた。

いつもの無表情な顔に、端的な返事の仕方もいつもと同じ。
それでも拒否の返事じゃなかったことから、私は途端に笑顔になった。

あぁ。なんか、最初の難関を突破したような、すがすがしくクリアな気分!
私、泣きたいくらい嬉しいんですけど・・!

「じゃ、取ってきます。キッチンに置いてるので。望月さんは座っててください」
「ああ」

急に駆け出すと、また吐き気が込み上げるかもしれない。
それに、ここからキッチンまでの距離は、別に走っていかなくてもすぐ着くし。
だから私は、用心しながらキッチンまで歩いて行くと、カウンターに置いていたエコーの写真をそっと取った。

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