ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~
中山建設の社長、中山源之進(げんのしん)さんとは、青森ヒバが縁で知り合った。
寺に似た様式の家を建てている俺に、宮大工の源さんは興味を持ち、「ワシのところに来い」と何度も誘ってくれた。
あれから10年近くたって、ようやく決心がついた俺は、源さんのところへ行くことにした。
「残念なことに、ワシとカミさんの間に子宝には恵まれんかったが、ワシらには20人の倅(せがれ)がおる。ここに来たもんみんなそうや。一時でもここにいたもん、ここを出て独り立ちしたもんもみんなや。てことは、倅のカミさんたちも、その子たちもみんな、ワシらにとっては家族。宝者(もん)や。光。おまえさんはワシの子分やなくて、倅や。今日からな。そうやけん、ワシのことは“社長”て呼ばんでええ。そんな大層なもんじゃないき。他のもんみたいに“源さん”と呼んでくれや」
そう言って豪快に笑う源さんに、俺は初めて会ったときから圧倒された。
寺に似た様式の家を建てている俺に、宮大工の源さんは興味を持ち、「ワシのところに来い」と何度も誘ってくれた。
あれから10年近くたって、ようやく決心がついた俺は、源さんのところへ行くことにした。
「残念なことに、ワシとカミさんの間に子宝には恵まれんかったが、ワシらには20人の倅(せがれ)がおる。ここに来たもんみんなそうや。一時でもここにいたもん、ここを出て独り立ちしたもんもみんなや。てことは、倅のカミさんたちも、その子たちもみんな、ワシらにとっては家族。宝者(もん)や。光。おまえさんはワシの子分やなくて、倅や。今日からな。そうやけん、ワシのことは“社長”て呼ばんでええ。そんな大層なもんじゃないき。他のもんみたいに“源さん”と呼んでくれや」
そう言って豪快に笑う源さんに、俺は初めて会ったときから圧倒された。