ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
「・・・ん。光さん?どうしたの?」

最初こいつは俺のことを、「望月さん」と呼んでたんだよな。
そしてこいつは今、俺のことを「光さん」と呼び、俺と同じ名字を名乗り、さらにこいつの小さな腹には今、俺たちの子が二人も育っている最中ってことに、正直ビックリすることがいまだにある。

奇跡ってやつが存在するなら、やっぱ神さんも存在するのかもしれねえな。

「ああ・・・新しい家、おまえも気に入ってくれるといいなと思った」
「そのことなら大丈夫ですよ。光さんと一緒だから、たとえ洞窟に住むことになっても、きっと毎日楽しいだろうなぁ」
「なんだそれ」

思わず笑いそうになった俺に、明里がすり寄ってきた。

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