ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
赤いスーパーのマークがチラッと見えるその袋の中には、私のハイヒールが入っている。

「修理出来たから持ってきた」
「あ!ありがとうございます。おいくらですか?」
「いい。大した額じゃねえから」
「でも!昨日だって、エビチャーハンとカクテルとカルヴァドス、それにホテル代だって払ってもらった・・」
「ホテル!?」

突然聞こえた島野さんの声で、私は、「あぁそういえばこの人いたんだ」と、今頃のように思い出してしまった。

「おまえ、望月さんと・・・。そうか。なんだよ。おまえ、二股かけてたのか」
「なっ、何言ってんのよ!かけてないわよ!あなたと一緒にしないでくれる?」

罪をなすりつけるような島野さんの言い方と咎める口調に、私はまたまた怒りが再炎した。
そんな私を、島野さんは睨みながら「どうなんですか、望月さん」と、なぜか望月さんにふった。

この男、本当に、ホントーに、ひねくれたガキだ!
少なくとも、望月さんの方が、この人よりも絶対に大人だ。あらゆる面で。
と私は断言できる。

< 61 / 183 >

この作品をシェア

pagetop