ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
私の胸の鼓動は、必要以上にドキドキ高鳴ってる。

「俺の肩に手ぇ乗せろ。その方が履きやすいだろ」
「えっ、あぁ、はぃ・・・」

望月さんはまだ、靴に手を添えたままで、私が履くのを手伝ってくれている。
というより、これはもう、私に靴を履かせてくれていると言っていい。

うわぁ。男の人に靴履かせてもらうなんて何年ぶり?
気分はもうシンデレラだ。
望月さんに脚見られてる!?恥ずかしい!
いや、照れる。
でも昨日は脚見られたどころじゃなくて、さんざん・・・ダメダメ!
今思い出しちゃダメでしょ、私!
でも、この人の硬い肩の感触とかTシャツ越しでも分かる・・・だから思い出しちゃダメだって!
誰にも見られなくて良かった・・・いや、見られてもいい、けど・・。

私は、鼓動をますますドキドキと高鳴らせながら、どうにか左右のハイヒールを履き終えた。

「よし。大丈夫そうだな」と言ってる望月さんの低い声も、無表情な顔も、いつもどおりだ。
・・・望月さんは、靴がちゃんと直ってるかどうかを見たかっただけ、なのね・・。
結局私だけ勝手にドキドキしちゃったってことか。
ま、いいけど。
ガッカリした以上に、ホッとしたような、ヘンな気分。

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