~団塊世代が育った里山から~
降り積もる雪の怖さ
登校してから昼間の降雪量が余りにも多くなると集団下校になって、それぞれの集落に帰る馬の背のような雪道を高学年が交代で列の先頭になって、膝まである雪を踏み固めて一列になって家へ帰るのです。
帰る途中の子供たちは早く授業が終わったうれしさからふざけあって、不安定な道から足をすくい背中を押したりして転倒させて、やわらかな雪のなかへスッポリと埋めるのです。
深い雪でやわらかな雪のなかではいくら足や手をバタバタさせても、体の自由が利かなくてフワフワした雪は容赦なく鼻や口に入り込んで呼吸ができない苦しさの瀬戸際を見計らって、手首や足首をつかんで道に引き上げるのです。
雪国の子供たちは雪の恐ろしさを遊びながらふざけあいながらでも、降り積もる白い悪魔に対する怖さを体験するのです。
年越し前から毎日三十~四十センチと雪が降り続く小正月も終わった頃に、集落の重要な役員を務める主が、村役場でする新年の会議に出席しなければいけないのです。
日暮れが早くやってきて一層激しい降り方を眺める主は、出かけるのをためらうのですが生真面目な性格なので足首まで埋まるのを踏みわけて家を出たのです。
十五分ほど歩いて着いた村役場の広い会議室の真ん中には、大きなダルマストーブが鋳物の胴体を赤アカとさせて燃えているのです。
村役場の粗末な外壁は板を打ち付けただけで隙間から冷気が入り込み、会議室を冷やして冷たい木の椅子に座る会議は寒さに耐え難いのです。
主は長い会議が終わってから、恒例の新年会を兼ねた反省会の酒もほどほどにして、「エキ がエッセニ フッテルスケ ケエリミチ が シンパイダスケ オラ ハヤグケエルネ」と、隣集落の役員に言い残してほろ酔い機嫌で村役場を出たのです。
夜も更けて遅い時間になっても帰らない主に主婦は心配になって、隣の粗末な入り口の引き戸をドンドンと何度もたたいて起きてもらい、村役場に行ったまま帰って来ないことを相談するのです。
荒れて大雪の降る夜に何かが起きたと思った隣人は、集落を仕切る長に報告をして全戸にチョウチンや数少ない懐中電灯を持って、至急に集会場へ集まるフレ「伝達」をだして捜索の準備をするのです。
夜中に集まった集落の人たちは、吹きつける雪に頬が冷えないように手ぬぐいで頬かむりしてスゲカサにワラミノを着て、カンジキを履きひと塊になって闇のなかへ捜索に向かうのです。
明るくないチョウチンや懐中電灯のあかりでお互いを確認しながら、大声で「オォ~イ ○○サ~ の オヤジィ~ トゴニ エンダヤァ~ オォ~イ オォ~イ」と、叫びながら往復四キロ程度の道を懸命に捜索するのです。
暗闇のなかを密度が濃くシンシンと降るボタン雪と、見渡す限り真っ白な雪野原に同化をしたホワイトアウト状態で、目先だけを照らす小さなあかりでは木や建物を照らし出さないのです。
視覚だけではなくて主を呼ぶ大声はすべての物を覆いつくした雪で遠くまで届かず、近くで叫んでいる声まで聞こえなくなって、自分の位置も確認できなくどこにいるのかさえわからなくなるのです。
白い悪魔と戦う捜索は二重遭難の恐れがあることで打ち切って、その夜はとうとう主を雪野原から見つけだすのができなかったのです。
一睡もできなかった主婦のところに駐在所のジョンサ「巡査」が、昼の近くに訪れて悲しい知らせを聞くのです。
主は家のある反対方角の道から外れた雪野原で、わずかに後頭部だけを雪から出した亡骸となって隣の集落の人が発見したのです。
近郷近在にも居ない良い男振りだから、雪の降る夜中に出て来る雪女の誘惑に負けてだいじな命を失ったのだと、話題の少ない集落でのうわさ話が広がっていくのです。
現実は夜中の激しく降る雪で視界が悪くなって、どこを見ても真っ白な雪で音のない白魔の世界に迷い込み、帰る方角を見失ってしまい腰まで埋まる雪のなかで苦しんでいる時間がたつにつれて、降る雪がかさんで身動きをとれなく疲れてしまい凍死したのです。
登校してから昼間の降雪量が余りにも多くなると集団下校になって、それぞれの集落に帰る馬の背のような雪道を高学年が交代で列の先頭になって、膝まである雪を踏み固めて一列になって家へ帰るのです。
帰る途中の子供たちは早く授業が終わったうれしさからふざけあって、不安定な道から足をすくい背中を押したりして転倒させて、やわらかな雪のなかへスッポリと埋めるのです。
深い雪でやわらかな雪のなかではいくら足や手をバタバタさせても、体の自由が利かなくてフワフワした雪は容赦なく鼻や口に入り込んで呼吸ができない苦しさの瀬戸際を見計らって、手首や足首をつかんで道に引き上げるのです。
雪国の子供たちは雪の恐ろしさを遊びながらふざけあいながらでも、降り積もる白い悪魔に対する怖さを体験するのです。
年越し前から毎日三十~四十センチと雪が降り続く小正月も終わった頃に、集落の重要な役員を務める主が、村役場でする新年の会議に出席しなければいけないのです。
日暮れが早くやってきて一層激しい降り方を眺める主は、出かけるのをためらうのですが生真面目な性格なので足首まで埋まるのを踏みわけて家を出たのです。
十五分ほど歩いて着いた村役場の広い会議室の真ん中には、大きなダルマストーブが鋳物の胴体を赤アカとさせて燃えているのです。
村役場の粗末な外壁は板を打ち付けただけで隙間から冷気が入り込み、会議室を冷やして冷たい木の椅子に座る会議は寒さに耐え難いのです。
主は長い会議が終わってから、恒例の新年会を兼ねた反省会の酒もほどほどにして、「エキ がエッセニ フッテルスケ ケエリミチ が シンパイダスケ オラ ハヤグケエルネ」と、隣集落の役員に言い残してほろ酔い機嫌で村役場を出たのです。
夜も更けて遅い時間になっても帰らない主に主婦は心配になって、隣の粗末な入り口の引き戸をドンドンと何度もたたいて起きてもらい、村役場に行ったまま帰って来ないことを相談するのです。
荒れて大雪の降る夜に何かが起きたと思った隣人は、集落を仕切る長に報告をして全戸にチョウチンや数少ない懐中電灯を持って、至急に集会場へ集まるフレ「伝達」をだして捜索の準備をするのです。
夜中に集まった集落の人たちは、吹きつける雪に頬が冷えないように手ぬぐいで頬かむりしてスゲカサにワラミノを着て、カンジキを履きひと塊になって闇のなかへ捜索に向かうのです。
明るくないチョウチンや懐中電灯のあかりでお互いを確認しながら、大声で「オォ~イ ○○サ~ の オヤジィ~ トゴニ エンダヤァ~ オォ~イ オォ~イ」と、叫びながら往復四キロ程度の道を懸命に捜索するのです。
暗闇のなかを密度が濃くシンシンと降るボタン雪と、見渡す限り真っ白な雪野原に同化をしたホワイトアウト状態で、目先だけを照らす小さなあかりでは木や建物を照らし出さないのです。
視覚だけではなくて主を呼ぶ大声はすべての物を覆いつくした雪で遠くまで届かず、近くで叫んでいる声まで聞こえなくなって、自分の位置も確認できなくどこにいるのかさえわからなくなるのです。
白い悪魔と戦う捜索は二重遭難の恐れがあることで打ち切って、その夜はとうとう主を雪野原から見つけだすのができなかったのです。
一睡もできなかった主婦のところに駐在所のジョンサ「巡査」が、昼の近くに訪れて悲しい知らせを聞くのです。
主は家のある反対方角の道から外れた雪野原で、わずかに後頭部だけを雪から出した亡骸となって隣の集落の人が発見したのです。
近郷近在にも居ない良い男振りだから、雪の降る夜中に出て来る雪女の誘惑に負けてだいじな命を失ったのだと、話題の少ない集落でのうわさ話が広がっていくのです。
現実は夜中の激しく降る雪で視界が悪くなって、どこを見ても真っ白な雪で音のない白魔の世界に迷い込み、帰る方角を見失ってしまい腰まで埋まる雪のなかで苦しんでいる時間がたつにつれて、降る雪がかさんで身動きをとれなく疲れてしまい凍死したのです。