~団塊世代が育った里山から~
子供たちの遊び四
子供たちが集まってきて遊ぶ馬乗りがあって、みんながそろうとジャンケンをして馬に乗る順番を決めるのです。
最初に勝った子供は一番先に馬へ乗れる役で、二番目は板塀か樹木などを背にして前向きに立って、三番目は二番目の腰に抱きついて次の子供は三番目のお尻に抱きついて、中腰になって長くつながる馬の完成なのです。
一番目の子供は馬の一番後ろのお尻を目指して助走をつけて、跳び箱を飛ぶように勢いよく腰を両手で蹴って前に跳ぶのです。
勢い余って馬から落ちたら最後尾の馬につながるのですが、落ちないように馬の肩にひっしでつかまって落ちないように耐えたら、前を向いて立っている二番目の子供とジャンケンをするのです。
ジャンケンで立っている子供が勝つと乗り役になって、負けると馬につながり三番目が立ちあがってジャンケンをする役になるのです。
ジャンケンの勝ち負けで次々と役を交代し続ける遊びなのですが、多くの子供たちがつながるとウネウネと馬が長く右左に動くので飛んでからのバランスのとり方が難しいのです。
どこかしこから初夏になった草木の穏やか匂いがあふれてくると、大きな子供と小さな子供がそろって山にいって手ごろな柳の枝を切ってくるのです。
柳の枝を平たく小刀やナタでけずって、大小二本の刀を作り柄には細い布切れを巻いた刀は、反り返ったのやら真っすぐなものを腰のベルトにさして、頭には豆絞りガラの手ぬぐいをはち巻にして近藤勇や沖田総司になりきるのです。
同じような格好をした子供たちに向かって、「皆の者束になってかかってこい」などと大声をあげて木の刀を振り回して、子供の集団のなかに飛び込んで大立ちまわりを演じるのです。
小さな子供たちは大きな子供に言いわれて、倒れる役目になってバタバタと倒れるのですが、しばらく死んだふりをした後に起き上がって立ち向かうのです。
大きな子供が紫の風呂敷を頭にかぶった鞍馬天狗になりきって、木の刀を頭上でふりかざし竹ボウキにまたがって砂ぼこりを巻きたてながらパカ パカ パカと、ヒヅメの音を自分の口で言いってさっそうと登場するのです。
向かう相手は割りばしの手裏剣を鉢巻きにさした荒木マタ右衛門の役目で、ヤァ~ トォ~と勇ましい掛け声がかかる一対一の戦いになってチャンバラゴッコはおわるのです。
たかが棒きれの刀なのですが、一本持つと子供たちの瞳は輝いて映画で見た記憶を思い起こし、感性を豊かに憧れのヒーローになりきって遊ぶのです。
チャンバラゴッコで大自然の野山や神社境内を舞台にして駆け回り、子供たちの塊は夕焼けでどこかしこ赤く染まるまで思い切り遊ぶのです。
カクレンボと少し違った遊びがあって、ジャンケンで一番負けた子供を鬼にしたら、空き缶を決めた位置に切り口を下にして置くのです。
遊びのスタートは置いてある缶を鬼以外の一人が遠くへ飛ぶように蹴り、鬼が缶を拾いにいって元の位置に缶を置く間に四方八方へ逃げて隠れるのです。
鬼は拾ってきた缶を元の場所に置いたら、隠れた子供たちを捜し回って見つけたら素早く缶の所へ戻り、「○○ちゃん ポン」と言って片足で缶を踏むのです。
見つけて鬼が缶を踏んで名前を呼んだら捕まったことになるのですが、鬼が缶を踏んで「○○ちゃん ポン」という前に駆けて行って、踏んでいない缶を蹴って飛ばし「缶をけった」と言ったらまた逃げて隠れるのです。
鬼に捕まっていた子供たちも再び逃げて隠れることができて、全員が捕まるまで終わらない戦略を必要とする知的な缶けりゴッコという遊びなのです。
西の険しい山から東に流れる川の水が少なくなる初夏になって、すべてを溶かしそうな熟れた熱気が漂う日に子供たちは川遊びをするのです。
大工さんから四角い板の箱にガラスを入れた箱メガネ「水鏡」を作ってもらって、ガラスのはまっている溝にローソクを溶かし込み、浸水して水中が見づらくないように工夫するのです。
川魚を突くヤスは、竹箸の太い方に木綿針を五~六本並べて糸で何重にも巻いて、針の先が均一になるようにくくり付けた小さなヤスなのです。
人工構造物のない大小の石がゴロゴロした清い川に入って、流れる水中を箱メガネでのぞくと太陽の照らす波の文様がユラユラとした影と光を砂に揺らめき映して、川底は異次元の世界を見るようなのです。
きれいな水中の石をソーッと取り除くと小さなカジカがジーッとしているのを、木綿針のヤスで瞬時に突くのです。
流れが落ち込むドブ「水たまり」で、箱メガネのなかに見えた大きなイワナに遭遇して、果敢にも木綿針のヤスで挑戦するものの、見事に針が折れて水中に深く逃げてしまうのです。
少し大き目のカジカは空揚げにして骨まで食べて、小さなカジカは何匹も連ねて竹串に刺して、ヨロリの遠赤外線が発するオキ「おき火」で塩焼きにして香ばしく食べるのです。
大漁の時は初夏の太陽で干して保存食にして、子どもたちに人気の甘いツクダ煮は水煮をしてから、ショウユ サッカリン「砂糖代用品」で味付けをして骨までやわらかくなるまで煮るのです。