~団塊世代が育った里山から~

男の子と女の子の遊び

木々のコズエが芽吹いた葉が揺れる気持ちのいい日は、男の子が女の子と一緒になって無邪気に手をつないで、「カゴメ カゴメ」や「花イチモンメ」を歌いながら遊ぶのです。
色とりどり模様のチャンチャンコ「綿入り袖なし羽織」を着た男の子から女の子が、広い空き地に集まって「カゴメ カゴメ」で遊ぶのですが、まず全員でジャンケンをして一人の鬼を決めるのです。
鬼になった子供は子供たちが囲む丸い輪の真ん中に入って、両眼を手のひらでおおい下を向いてしゃがんだ膝小僧の上にかおをのせるのです。
鬼を囲んだ子供たちはアオッパナ「青く濃い鼻水」をすすりながら両手をつないで、鬼を中心にしてカゴメ カゴメの歌をうたいながら時計回りに横歩きをするのです。
「カゴメカゴメ カゴ ノ ナカノ トリ ハ イツイツ デヤル ヨアケ ノ バンニ ツルトカメ ト スベッタ ウシロ ノ ショウメンダアレ」

輪になって回る子供たちが歌の最後の「後ろの正面だぁれ」で横歩きをやめてその場にしゃがみ、鬼は後ろにいる子供がだれかを「○○チャン」と名前を呼んで当てるのです。
後ろの子供の笑う声やひそひそ話を聞いて名前を呼ぶのですが、人数の多いときは当たりづらく何度も鬼になるので「声出し」を頼むのです。
「声出し」を宣言した鬼の後ろに居る子供は、「あ~」とか「う~」と自分だとわかりづらい変な声を出すのですが、その声に聞き覚えのある子供の名前を「○○チャン」と当てるのです。
うまく当たれば交代ができて外れたらまた鬼になるのですが、普段から仲が良かったりけんかをしたりをする仲間意識がうまく取れていないと、だれかわからず当てることの難しい遊びなのです。

「カッテ ウレシイ ハナ イチモン メ マケテ クヤシイ ハナ イチモンメ」声を高らかに歌って遊ぶ花イチモンメは、男の子も女の子も同じ人数で二つのグループにわかれるのです。
わかれたグループは隣の子供と両手をつなぎ相手のグループと向かい合って横一列に並んで、どちらからのグループが「勝ってうれしい花イチモンメ」と歌って前に進み、もう一方のグループは黙って後ろに下がるのです。
前に進むグループは、花イチモンメのめでゲタやゴム草履を履いた片足を相手に向けてけり上げるのです。
後ろに下がったグループは、今度は逆に前に進んで「負けて悔しい花イチモンメ」と、歌いながら同じようにめで片足をけり上げるのです。
最初に前に進んだグループが「あの子が欲しい」と声をそろえて言い、後に下がったグループが「あの子ジャワカラン」と言い返すのです。
最初に前に進んだグループの一人が「相談しよう」と言ったら、後に下がったグループが「そうしましょう」と言うのです。
最初のグループは、相手のグループからだれを自分のグループに連れてくるかを、小さな頭を丸く寄せ合って「あの子がいい、この子にしよう」と相談するのです。

相手のグループからだれを連れてくるかを決めると「決まった」と大きな声で叫んで、再び両手をつないで向かい合って歌いながら、「○○チャンが欲しい」と相手グループに居る子供の名前を言って前に進むのです。
同じように相手のグループも連れて来たい子供の名前を言ったら、それぞれのグループから一人の代表が出てジャンケンをして決めるのです。
ジャンケンで勝ったグループは、名前を呼んだ子供を自分のグループに連れて来て手をつなぎ、同じことの繰り返しでどちらかグループの子供が居なくなるまで続けるのです。
どこにもある空き地からは、絶えず子供たちの遊ぶ歌声や言い争いをする元気でにぎやかな声が、鳥や虫の鳴き声と一緒に遠くから近くから聞こえて来るのです。

輪ゴムや虫ゴムを文房具屋で買って来て、ある程度の長さにつないで引っ張った上を跳んで高さを競うゴム跳びを、普段はおとなしく見えても活発な女の子がするのです。
ゴムの高さを決める位置を女の子の足首の高さから、ヒザ 腰、胸、と順番に高くして最後は頭の位置にして、すべての高さを跳ぶことに成功すればおわりのルールなのです。
女の子たちが輪になってジャンケンで決めるのは、ゴムの両端を持つ二人と跳ぶ女の子の順番を決めるのです。
ジャンケンに負けてゴムの端を持つ二人は、お互いが後ずさりをして二Mぐらい離れた長さに引っ張ったら順番に跳ぶのですが、ゴムに足が引っかかって上手に跳べなかったときはゴムを持っている女の子と交代になるのです。
足のくるぶしの低い高さをまたぐようにして跳び、ひざのときは前向きに跳ぶ男跳びや、腰の高さでは体をひねって後ろ向きに跳ぶ女跳びがあるのです。
最後にゴムの位置が頭の高さになると、さすがに素直には跳べないので両手を地面について逆立ちになって、足先にゴムをひっかけて跳ぶ逆立ち跳びをする女の子もいるのです。

太陽が西に傾いてジベタ「地面」の影が長くなると、五~六人の子供たちが影フミをして遊ぶのですが、始める前に鬼になる子供から影のどの部分を踏んだら交代するか決める話し合いで決めるのです。
頭の部分に決まると、鬼が近くに居る子供を追いかけまわして影の頭を踏もうとするのですが、逃げる子供は疲れてくると木の陰や家の影へ逃げ込み、影を消して休もうとするのですが日陰が遠くて鬼に追いつめられた時は、しゃがんで頭をふって体をひねりながらガンバルのです。
遊んでいるうちに夕暮れが深まり影も消えて空が赤黒くなると、裸電球が照らすやわらかなオレンジ色に白い障子戸が染まって、どこからでもなくミソ汁の匂いが漂ってくるのです。
街道から声がかかって、「○○チャン マンマ だよぉ~」と白い割ポウ着を夕焼けの色に映しながらカーチャン「お母さん」が、ゲタの音を響かせ小走りで迎えに来るのです。
一人抜け二人抜けて子供たちが少なくなって寂しくなると、迎えに来てもらえない子供もトボトボと帰りだして、楽しかった影フミ遊びはまたの日まで解散になるのです。

子供たちが集まってジャンケンで最後に負けた子供が鬼になる、カクレンボも男の子も女の子も一緒になって遊べるのです。
鬼になった子供は家の壁や立木へ前向きにもたれて目を覆い、隠れる子供たちに聞こえるように大きな声で決めた数をかぞえるのです。
かぞえているあいだに子供たちは、納屋に積み上げたネズミのフン尿の匂いがするワラのなかや、白く塩の吹き出た大きなミソオケのなかに入って隠れるのです。
決めた数をかぞえ終わった鬼が「モウ エエ カイ」と大声で言うと、子供たちは場所がわからないように小さな声で「モウ エエ ヨ」と返すのです。
声がする方角を目指して探しに行くのですが、隠れた子供は鬼に見つからないように別の隠れ場所に移るのです。
見つけると「メッケ」と叫んで、見つかった子供はジャンケンをして勝ち負けで新しい鬼を決めるのですが、小さな子供の鬼はだれも見つけるのができず何回もなってしまい、泣きだすので大きい子供が代わってやる優しさもあるのです。
鬼になってかぞえる決めた数までかぞえるのが面倒くさくなると、途中から大きく数を飛ばして最後の数だけ大声で言ってごまかしたりもするのです。
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