秘密の花園×名なしの森

 おばさんから受け取ったチケットの一枚を彼の目の前に、今日二回目の質問。

「さて、ここは何処でしょう?」

 ああ、今あたしはにんまりした顔をしているんだろうなぁと思いながら、彼の答えを待つ。

「きょ、京都タワー……?」

 おずおず、って言葉がぴったりなその様子に、思わず笑ってしまった。湊くんの目がだんだん潤んできて、今にも泣きそうだ。意地悪しすぎたかもしれない。

 あたしは湊くんのほっぺたをつんと指で弾いて、

「ピンポーン。大正解!」

 仕事用じゃない笑顔を浮かべた。

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