あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ

国崎君は、また同じナポリタンのスパゲティーを注文した。

この人は、決まったものが目の前にあればいい人らしい。
あまり細かいこと言わないし。

私が、今まで付き合ってきた人もこういうタイプだ。

男らしくって、さっぱりしてて、いざというとき助けてくれようとする。
男らしい男性。

それなのに、こんな状況になっても私は、ここに居ない人のことをずっと考えてる。

どうしたら彼を納得できるか。
どうしたら、彼を満足させられるかだなんて。

そんなこと、相手が望んでるはずないのに。


「私はサンドウィッチとコーヒーでいい」


「なあ、セミナーって何のためにやるんだ?」

私は、サンドウィッチじゃ物足りなくなり、国崎君のスパゲティーを分けてもらった。


「確かにねえ。研修所に同期全員が全国から一斉に集められて、一日中講師の話聞かされる。
この忙しい時期に何よって、真面目に聞いてなかったのもあるな。業務に関係ないことも多かったし」私も自分が受けてた時のことを思い出した。


「まあ、そうだよな。結局仕事なんて、上司や先輩に教わる方が多いからな」

「うん」

「でも、上司や先輩に教育をすべて任せていいっていう訳じゃない。教育に向いている人もいれば、向いてない人もいる」

「うん」
それはそうだ。酷い人に当たれば、教わらない方がいいってこともある。

「だから、人事が直接介入できる研修ってのは意味があるし、人材育成上の課題を効果的に解決できるんだ」


「それで?結局、どれをやったらいいのよ」
そこが問題なんじゃない。
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