あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ

吉沢さんは、全員が席に着くと会議室のホワイトボードの前に立った。

すっと、その場にいる人を引き付け、話に入って行くのが上手い。

「えっと、私は大学を出てから会社の人事部門に所属して、人材開発や制度設計に携わってきました。
海外の大学院で経営学の修士号を取得して、現在の経営コンサルティングファームに職を得ました。

私が受け持つのは、人材開発プロジェクトの企画・提案、企画した研修の講師、そして受け持った講習の、スキル定着のための定期的なフィードバック、フォローアップです」

「はあ」長い。
経歴だけでこんなにあるのか。

私とそれほど変わらない年月を生きて来て、どうやったらこんなに差が付けられるかっていうぐらい、出来ることに差があった。

おまけに、外見でも遠く及ばないなんて。

その上……

頭も切れる。

「いただいた企画書ですが、内容を精査ささせていただいて、一緒にできるもの、必要ないものを省くと、お手元の資料の通りになりました」

「本当にこんなに減らせるの?マジか」

課長が、見たこともないようなフレンドリーな表情をしている。


「講習で話す内容によって、共通のものは一緒に講義して、別々のものは午前と午後からに分けるの。そうやって配置すれば日程は短縮できるかな」

「なるほど」

課長が、吉沢さんの後を引き取って話始めた。

「えっと……この間、栗原から、企画書をもらった。社内全体の研修内容を見直すというものだ。実は、前々から社長に言われていたことで、そろそろ着手しようと思ってる件だった」

「それって、何ですか?」恵麻ちゃんが突っ込む。

「みんなも知っての通り、うちの会社は3年前に大幅な合併を経験した。
人事の配置はすでに問題なく行われて来たけれど、研修内容まではまだ、大掛かりな手が付けられていない。
だから、この機会に作り変えようということになった」

「で?吉沢さんが来たってこと?」国崎君がいう。

「ああ、俺は、別の業務があって研修内容のことまで手が回らない。だから、この件は国崎と栗原が中心になってもらう」
課長が、そう付け加えた。

人材開発課長が、研修内容の再編に手が回らないって。
どういうこと?




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