あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ

吉沢さんとのご対面は、にこやかに終えることが出来た。

それから、簡単な説明の後、みんなで食事をすることになった。

その日のお昼、私たちは、吉沢さんと一緒に5人でお昼を食べた。
いつも、お弁当を持ってきてた恵麻ちゃんまで加わった。

いつものイタリアンレストランで、宮崎さんの代わりに3人が加わった。


「お二人は、会社の同僚だったんですか?」
席について早々に恵麻ちゃんが尋ねる。
恵麻ちゃん、さっきと打って変わって生き生きとした目で、課長と吉沢さんに質問している。

吉沢さんは、さっきと違って恵麻ちゃんの質問に、ランチで同席した職場の先輩みたいにフレンドリーに答えてる。

「うん、そうなの。同じ会社で働いていたのよ。でも、その前に私達、大学の同級生だったの。私が先に就職して、大学院に行ってた彼をスカウトしたの」

スカウト?入って間もない人がスカウトするの?

「学生の頃から、仲がいいんですね。付き合ってたんですか?」
恵麻ちゃんが探りを入れる。

「いやだあ。付き合ってたかしら。私たちって」
吉沢さんがふざけて言う。

「まあ、腐れ縁で付き合ってただけだ」課長はそっけなく言う。

その場の皆が笑ったのに、私だけ笑えなかった。


吉沢さんは、隣に座った課長から順にメンバーざっと見た。
「主任の栗原さんに、国崎君。それと塩崎さん」

最初にあった時に、自己紹介を済ませているが、吉沢さんは確認するように言う。


彼女は、私の方をじっと見て言う。

「女性の栗原さんが主任なのね」

「ああ、そうだ」課長は、私が何か答える前に、さらっと答えた。

「この人がAIの?」吉沢さんがいきなりそう言った。

「待て桜子、今、その話は……」

これには、さすがの課長が慌てて誤魔化す。

私もすぐに何のことかわからなかった。

課長が、親しげに桜子と吉沢さんのことを呼んでることの方が気になった。


「そうだ。でも、この話は公にしていないから、この場で話すわけには行かない」
課長は、桜子さんに向かって言う。

相変わらず、課長は会社で決められたことをきちっと守ってるのだろうな。

「そうなの?どうして」吉沢さんは素直に疑問を投げかける。


「AIって、人工知能のですか?」
国崎君が、名残惜しそうに見てたメニューから顔を上げて言う。

「そう、人材開発課の主任にふさわしいのは、栗原さんだとたくさんの候補の中から、コンピュータがはじき出したのよ」あっさり美人が口に出してしまった。

「おい、止めろって言っただろ?」
この時の、課長の苦々しい顔。

「なんだ、それ」
国崎君が文句を言う。

「この話は、ここだけだ。他言しないように」
課長が釘をさす。

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