あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
「えっと……」
別にやましいことしてないし、すぐにも答えようと思った。
けれど、今まで見たことないような鋭い目で見られて、珍しく緊張してしまった。
「えっと……あの……」
口ごもったまま、言葉が出てこない。
失礼しましたって、逃げようか?
ダメ、ダメ。ここは、今日から働くことになってる職場だ。
嘘なんかついたら、この後、朝礼で顔を合わせるなんてことになる。
それはまずい。
誤魔化さずに、正直に話さないと後で後悔する。
この辺りは、人事課の席だから、この人も同じチームで仕事をする可能性は高い。
嘘はつかない方が無難だ。
なんて考えてるうちに、彼が席を立ってこっちに来た。
ひえええ、どうしよう。
逃げるってパターンは無くなった。
すでに、目の前に立ちはだかってる。背、高そうだ。
壁のように。
「どこから来た?」
彼は、カバンを抱きしめて縮こまってる私に言う。
すらっとして、いい感じにスーツを着こなしてる。
さすが、都会人。メガネを指で直す姿が決まってる。
「ああっ、えっと……」
なんて考えてたら、余計に何を答えたらいいのか、分からなくなった。
あんまりにも、おびえた様子の私を見て、相手も考えを変えたみたいだ。
顎に手を当てて、私の様子を観察してる。