夜の甘やかな野望
「“なんですかっ”ていうのは、そうじゃなくって。
なんで、息苦しいんです?」
「え?あ、そっち?
いいよ、スルーして」
「受け止めてほしいんじゃないんですか?」
「うん、なんか呟いたら、気が晴れた」
微笑しながら倫子に顔を向けた。
「車も刷けたみたいだし、帰ろうか。
さみー。
早く車に入ろう。
ってか、倫子さん温めてくれる?」
微妙に話をずらされた気がしたが、倫子は察して追及はしなかった。
この男が弱音を吐くのは初めてだったから。
プライドが高い彼に、これ以上の追及は嫌がられる。
「車の暖房を入れればいいんですか?」
「そのボケ、わざと?」
「あ、そっちの意味ですか」
ちらりと宗忠の横顔を見ると、ちょっとすねている。