夜の甘やかな野望


      *


宗忠は倫子の理性と思考を存分に崩してから、くちびるを離した。


「さあ、行こう」


片腕で倫子の腰を救い上げて立たせると、そのまま歩き出す。


宗忠は腕に倫子の体重が素直に預けられるのに愉快になりながら、もう片腕の指でくちびるに移ったグロスをぬぐう。


楽しい夜になりそう。


宗忠の口端に微笑が浮かんだ。


地下に停めてある車に倫子を押し込み、5分ほど離れた自分のマンションに戻ると、降りる前にもう一度くちびるに毒を注ぐ。


自分のキスが下手だとは思っていないけど、ここまでトロトロになってしまうと嬉しくなる。


面白くて、エレベータの中でも仕掛けた。
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