夜の甘やかな野望


      *


ふうん。


宗忠はハンドルに両手を上げて顎を乗せ、フロントガラス越しに眺めていた。


医者の不養生ということわざがある。


その通りに先輩医師が胃ガンで検査入院してしまった。


その穴を埋めるために多忙を極め・・・。


ちゃんと、忙しくなるって言っといたのに。


助手席に置いてあったスマホを手に取る。


「今から行くね。
 後、5分くらいで着きそう」

「は?」


そのまま宗忠は電話を切った。


車をコインパーキングに入れて、エントランスに入ると、ちょうどオートロックが開いてあの男がやや不機嫌そうに出てきた。


気安く、かつ強引に倫子の腕を引いて、マンションに入っていった男。
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