夜の甘やかな野望


このまま自分のマンションに戻る気にもなれないし、他のお友達に声をかける気分にもなれない。


そこで久々に実家に行くことにした。


ガレージには父と兄二人の車が並んでおり、その横のスペースに入れた。


玄関に入って、出迎えてくれたのは兄嫁だった。


「あれ、碧ちゃんも来ていたの?」


無言のまま、碧の眉がちょっと下がる。


「人の嫁を、ちゃん付けするな」


二番目の兄、宗雅が現れて露骨に嫌な顔をした。


「兄さんたちも遊びに来てたんだ」


宗忠は靴を脱ぐと、碧が出してくれたスリッパに足を入れながら、“ありがとう”と言って笑いかける。


「いや」


宗雅のそっけない口調に、眉をあげて促す。
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