夜の甘やかな野望
「名前は?」
「倫子さん」
「知ってる?」
宗雅が救い上げるように、隣に立っている碧を見上げると、困ったように首を傾げている。
「そうだよね。
碧さん、ほんとーに、補助金の世界でしか生きていなかったもんね」
まだ宗雅の機嫌は悪いらしく、皮肉っぽい。
「碧ちゃん、よくこんな顔だけで性格の悪い男と結婚したね」
にっこり笑うと、碧も笑い返してくれた。
妻にも、そう認識されてやんの。
宗忠が意地悪く兄に視線をやると、兄はしらっとして言われた言葉を返してきた。
「で、おとしいれられたの?」
この、“おとしいれられた”とはどういう意味だろう。
食べちゃったって言うなら・・・食べたけど。
彼女とかだと、そうじゃないし。