鬼上司は秘密の恋人!?
「おらチビ、男湯行くぞ!」
「うんっ!!」
部屋に用意された子供用の浴衣を身につけ、小脇にタオルを抱えた祐一が、期待で目を輝かせて大きく頷く。
同じく浴衣を着た石月さんの後を、てけてけとついていく。
「大浴場ではしゃいで転ばないでね」
思わず心配になってそう言うと、祐一は「うんっ!!」とぶんぶんと首を縦に振った。
あぁ、これは興奮しすぎて人の話が耳に入ってないな、と苦笑いする。
「大丈夫。俺がちゃんと見てるから。お前はひとりでゆっくりしてこい」
石月さんにそう言われ、お願いしますと頭を下げてふたりを見送ってから、今日泊まる客室を振り返った。
湖に面した大きな窓のあるテーブルや座椅子が置かれた部屋と、ふすまで仕切られた寝室のある二間続きの和室。
今日はここに三人で泊まる。
寝室の畳の上に布団が並んでいる様子を想像して、思わず頭を抱えた。
こんな素敵な旅館に部屋を取ってもらって、文句なんてとても言えないけど、でも、同じ部屋で石月さんと眠るなんて……!
いや、でも二間あるんだから、ふすまで区切って別々に寝ればいいだけだ。
落ち着け、落ち着け。