恋は世界の片隅に【短編集】
「……ごめんなさいっ!」
怖くなったあたしは、気がつけば春くんの家を飛び出していた。
春くんがあたしの名前を呼んだ気がしたけど、振り向けなかった。
あたしは、最低なことを言ってしまったんだ……。
後悔の念にかられ、あたしは崩れるようにその場にしゃがみこんだ。
あたしは、春くんの理由も気かず、勝手に不安になって春くんのせいにしてただけなんだ。
春くんのあの顔が、脳裏に焼き付いたまま離れない。
大好きな人を傷つけてしまった。
その事実は変わらない。
ねぇ、もうダメなの?
春くん……あたしはあなたが大好きなんだよ?