恋は世界の片隅に【短編集】
翌朝。
あたしは、腫れた目を隠すようにして教室へ入った。
春くんは、まだ来てない。
少しだけ安心した。
「友梨、大丈夫?」
「……うん」
本当は、大丈夫じゃない。
学校なんて来たくなかった。
でも、もう春くんから逃げたくなかったんだ。
もうすぐ授業が始まるというのに、春くんは姿を見せなかった。
「ハルチカ、遅刻かな?」
「珍しいねー」
女の子たちが心配そうに話してる声を、あたしは呆然と聞いていた。
春くん……どうして来ないの?
そんなにあたしに会いたくない?
だけど次の瞬間。
「おーッス」
あたしは目を疑った。