狼少年、拾いました。
「人だ。」

そう言ってミェルナに籠を戻し、スティーヌは森に溶け込むように姿を消した。

声だけになったスティーヌを頼って目をこらすと、木々の向こうに小さく人影が3つ見える。

村人にしても普段はこんなに山の奥の方へは入ってこない。

背筋が硬くなった……良くないことが起こるような気がした。

「ゼーラ?」

狩りをする男たちならまだしも、影のうちの1人はゼーラだった。

それに加えて、彼女の後ろについてきている男たち。

見慣れた村人の風貌ではない。

身につけている服や靴はミェルナやむらびのものよりずっと上等なものだとひと目でわかったし、何より腰にぶら下げているものはレスクが持っているような武器のようだった。

向こうもこちらに気づいたようで、束の間足を止め、こちらに向かう足を速めた。

スティーヌの姿を探してすがるように当たりを見回したが彼は今消えているので見つかるはずもない。

が、彼の囁き声は耳に届いた。

「逃げては余計怪しまれる。いいか、何を訊かれてもシラを切り通すのだぞ。」

向こう側に分からない程度に頷くと共に、ミェルナはごくりと唾をのんだ。
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