狼少年、拾いました。
そこまでやっとのことで言い、再びゼーラは嗚咽を漏らしはじめた。

 (何て言ったらいいんだろう……。)

突然告げられた人生の別れ道にミェルナは驚いたが、当の本人のそれに比べれば大したものではない。

 泣いている、いや、落ち込んでいる人の慰め方をミェルナは知らない。

 下手な言葉をかけたところで余計傷付けてしまうかもしれない。

 「……とりあえず、お茶、淹れるわね…。」

 やることをまさぐってミェルナは半ば逃げるように側を離れた。

 温かいお茶を白い手にそっと渡すと、ゼーラは涙を溜めた目で少し微笑んだ。

 「ありがと。」

 泣き腫らしてもその愛らしさは変わらない。

 彼女の笑みと一言に安心するとともに、こんな時にも関わらずその美少女っぷりにこっそり感心していた。

 「ごめんね……もう大丈夫。」

 声をかけられるとのんきな感心はは隠れるように消えた。

 「父さんたら急なのよ。そりゃあ姉さんたちを見てきたから、これくらいの歳になったらそろそろかなーとは思ってたけどね。」

 「相手は誰なの?」

 「下の町の10個も上の人よ。顔も知らないわ。明日夕方から顔合わせするんだけどね。しかもそれに間に合うように明日の夜明け前発つんだって。」
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