狼少年、拾いました。
 ミェルナは知るよしもなかったが、村の大人たちは、血が濃くなりすぎないように時々麓の町から若い村人たちの結婚相手を選んでいた。

 そうすれば作物を卸す繋がりも強固になる。

 村のほとんどの娘は親が決めた相手のところへ嫁いでいっていた。

 「町へ、お嫁に行っちゃうの?」

 「そう……。すぐじゃないけどね。でもいざお嫁に行ったらしばらく会えなくなるわ。」

 きゅっと胸が締めつけられた。

ゼーラが、もう会いに来てくれなくてなってしまう.....。

 「そんな……。」

 「嫁入りなんてそんなものだって分かってるけど……やっぱり辛いわ。好きな人と一緒になれるのって、お話の中だけね。」

 諦めたように苦笑いするゼーラを見て喉を絞められたような気分になった。

 そういう内容の本を貸したことがある。

 知らなくて良い世界を教えて夢を見させてしまったのかもしれない。

 「もしかして、本を貸したせいでって思ってる?」
< 59 / 114 >

この作品をシェア

pagetop