狼少年、拾いました。
 新たに会話の輪に入ってきた者がいた。

 「__!」

 驚いて口を開きかけたミェルナを傷だらけの手で制しながら、レスクはプベルトに向き合った。

 「あんた、道は分かってるんだろ?自分で付けてきた道しるべでも辿って帰りな。」

 鋭い目だ。

 最後に見たような、あの触れれば切れそうなものではないが、それでも否とはいわせない強いものがその目にはあった。

 それに今のレスクは怪我をしているようで、顔には血を乱暴に手で拭ったような痕があった。

 そんな物騒な男に睨みつけられ、驚きと怯えに顔を硬直させていたプベルトだったが、すぐに何も言わずに逃げるように踵を返した。

 木の中にプベルトの背中が消えていくのを見送ってから、レスクはこちらに目を向けた。

 プベルトに向けていたものとは、それにもちろんあの時のものとも大違いの、しゅんとして気まずそうな表情だった。


   *     *     *   


 「その…すまなかった。」

 先に沈黙を破ったのはレスクの方だった。

 気まずさを紛らすように小鳥のさえずりを無駄に集中してきいていたミェルナは、引き戻されたように軽くびくっとしてすぐそばにあるレスクの顔を見た。
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