狼少年、拾いました。
 「起きてたのね。調子はどう?」

 「……。」

 話しかけても返事どころか身じろぎ一つしない。。

 上の空であぐらをかいて座っているままだ。

 「ねぇ、大丈夫?」

 もう一度声を掛けると同時に、荷物をどすんと床におくと、レスクは我に返ったようでビクッとこちらを振り返った。

 「お、おう。」

 生返事の後でくんくん、と鼻を動かし、ミェルナが持ってきた籠に目を移した。

 「それ、飯?すっげぇ良い匂いするんだけど。」

 子供のように分かりやすく楽しみな顔をするレスクは、もういつもの彼だった。


 この日からミェルナは、いつも通り村人に邪険に扱われながら薬を処方するとともに、合間を縫って森のさらに深く奥にある、レスクの養生している隠れ家へと足を運んだ。

 手当ての間にレスクがしてくれる、いままでの旅の話を聞くのがミェルナの最近の一番好きな時間だった。
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