次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「好きになってほしい、って言われるのかと思えば、好きになりたい、だからな。しかも、普通にしてればいいって言われて」
そこで彼は手を止めて、悲しげな表情で私を見た。
「環境がそうさせたのか、俺は周りの大人たちに対しても、女性に対しても、上手く取り繕って好意を持ってもらうやり方は身についていたから。それこそ同情の引き方だって。でも、どうやったら素の自分を好きになってもらえるのか、どうすれば愛されるのか、分からないんだ。そんな風に愛されたことなんてなかったから」
その言葉に胸が締めつけられる。私は堪らなくなってソファから立ち上がると、直人になにも告げず、その場を後にした。そして、自室からあるものを持って急いで戻ってくる。
「これ」
私の行動についていけず、呆然としている直人に預かっていたものを差し出した。直人は訳が分からないまま受け取り、それを確認すると目を大きく見開いた。
「どうしたんだ、いきなり?」
それは、直人から持っているように、と言われた婚姻届だった。渡したものには、妻となる私の欄も記入している。
「ちゃんと直人との結婚を考えてるって言ったでしょ? だから、それは直人に返すよ」
もっと早くにこうするべきだったのかもしれないけれど、ようやく渡せた。直人が真実を話してくれて嬉しかった。だから、今度は私が応える番だ。
胸が意識せずとも早鐘を打ちだし、婚姻届を複雑そうな表情で見つめる直人に私は一気に捲し立てる。
そこで彼は手を止めて、悲しげな表情で私を見た。
「環境がそうさせたのか、俺は周りの大人たちに対しても、女性に対しても、上手く取り繕って好意を持ってもらうやり方は身についていたから。それこそ同情の引き方だって。でも、どうやったら素の自分を好きになってもらえるのか、どうすれば愛されるのか、分からないんだ。そんな風に愛されたことなんてなかったから」
その言葉に胸が締めつけられる。私は堪らなくなってソファから立ち上がると、直人になにも告げず、その場を後にした。そして、自室からあるものを持って急いで戻ってくる。
「これ」
私の行動についていけず、呆然としている直人に預かっていたものを差し出した。直人は訳が分からないまま受け取り、それを確認すると目を大きく見開いた。
「どうしたんだ、いきなり?」
それは、直人から持っているように、と言われた婚姻届だった。渡したものには、妻となる私の欄も記入している。
「ちゃんと直人との結婚を考えてるって言ったでしょ? だから、それは直人に返すよ」
もっと早くにこうするべきだったのかもしれないけれど、ようやく渡せた。直人が真実を話してくれて嬉しかった。だから、今度は私が応える番だ。
胸が意識せずとも早鐘を打ちだし、婚姻届を複雑そうな表情で見つめる直人に私は一気に捲し立てる。