次期社長と甘キュン!?お試し結婚
 帰ってきてから早速、仲のいい友達経由で幹事に連絡してもらい、私は来週末の同窓会に参加することになった。

 こんなギリギリでマナー違反だと思ったが、ほかにも仕事の都合などで、土壇場で参加する人もちらほらいるらしく、むしろ参加人数が増えたことで感謝された。

 友達はどういう風の吹き回し!? なんて驚きながらも、私が参加することを喜んでくれた。あとは、なにを着ていこうかと、これまた落ち着かない。

 改めて私は自分の顔をまじまじと見つめた。眼鏡のない自分を、こんなにもくっきりと見るのは久しぶりだ。

 髪型も変えてもらって、薄く化粧もしているので我ながら別人みたいだと思う。これなら、直人の隣に並んでも少しは釣り合うだろうか。

 そこで私は、同窓会で会う面々よりも、直人にどう思われているのかが気になっていることに気づいた。今まで、あまりお洒落に興味はなかったけど、直人と結婚するなら、周りにもちゃんとそれなりに見られる格好にしておかなくては。

 なにより直人に少しでも可愛いと思ってもらいたい。そもそも直人は、どういう女性がタイプなんだろうか。

 そんな風に真剣にあれこれ相手のことを考えては胸が苦しくなる。もう二十代も後半だというのに、これではまるで初恋に戸惑っている少女みたいだ。

 情けないような、むず痒いような。でも、これが恋なのだ。私は今、直人にきっと恋をしている。そう自覚して、私の胸はさらに苦しくなった。
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