次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「それが微妙なんだ。じいさんと先代が知り合いとはいえ、今まで三島は国内のみで商売してきたから、うちとはあまり関係がなかった。でも、そのラーメン店が国外にも進出する働きを見せているらしく、なにかビジネスチャンスになるかもしれない」

 かもしれない、と言いつつ彼の目はビジネスチャンスにする気満々のようだ。

「なら、私って完璧お邪魔じゃない?」

 それについて彼は肯定も否定もしなかった。ただ、長く息を吐く。

「じいさんから聞いて、向こうから婚約のお祝いに一度会いたいと言ってきたんだ」

 そう言われて私の緊張は一気に増した。彼の狙いを考えると、なんだか私がいていい雰囲気でもなさそうだ。生憎、営業やら商談やらは、まったく分からないし役にも立てない。

 さらに言えば、彼の婚約者として同行するのもなんとも微妙な立ち位置である。

「俺がメインで話すから、晶子は余計なことは言わなくていい」

 邪魔はするなよ、というように聞こえて、私は軽く首をすくめた。彼から視線を逸らして窓の外を見る。道行く人は傘をさしていたり、さしていなかったりとまばらだ。

 霧雨なんだろうか。車が走るたびに、細やかな粒が窓ガラスに存在を主張してくる。私もいるのか、いないのか分からないくらいの存在でいたらいいのだ。

 この前のお見合い同様、今日の会食もあまり楽しいものではないのが安易に想像できて、私はこめかみを手で押さえた。
< 40 / 218 >

この作品をシェア

pagetop